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脳をアルファ波状態にする「フローな状態」


大脳を大別すると前頭葉(前頭前野)と頭頂葉、後頭葉に分けられます。前頭葉の機能は情報のインプットです。頭頂葉は、身体の様々な部位からの感覚情報を統合する機能を持ち、後頭葉は全視野の視覚情報や色彩の認識をつかさどる機能を持っている。

ポイントは、前頭葉は入力機能を主につかさどっているので、多くの雑念を生み出す元になるということであり、頭頂葉と後頭葉は雑念と切り離された「感覚情報と視覚情報」を取り扱うために、「客観性を持てる部位」になるということです。

早い話が、前頭葉の雑情報ばかりを受け続けていると脳内がザワついて客観性が失われるということです。

換言すると情報を追い続けたり、惑わされたりしていると脳内が雑念に支配されて、頭頂葉と後頭葉が活用されず、客観性のある考え方やものの見方ができなくなるということです。

例えば、スマホばかり見ていると「インプットだけの受動脳状態」に陥り、脳内が雑念だらけになってしまうということです。奇妙に緊張した脳の状況となり、アルファ波どころの騒ぎではありません。

一方、何かに夢中になっている状態では、前頭葉(前頭前野)の活動が抑えられて雑念が湧きにくくなる。これは誰でも経験していることです。夢中になると周囲の音さえ聞こえなくなる。

これは、科学的に「フローな状態」と呼ばれます。

フローの状態では、脳的にはアルファ波になっています。つまり、熱中しているときは、脳はリラックスしているといえるわけです。

熱中、夢中、集中=アルファ波=リラックス。

このことから、緊張したり、力んだりするのは良くないことが分かります。そのような状態ではフローには入れないということです。

「熱中せよ、集中せよ」という、およそ頭頂葉と後頭葉とは無縁の掛け声、罵声、怒声の類いも、当然、前頭葉のインプットになるので、まさに「うるせぇ!黙ってろ!」となります。

フローに入るにはひとつのトリックが必要です。
それが「ちょっとの間、静かにする」です。

これは、脳神経科学者のジェシカ・コールドウェル博士の提案です。彼は、ちょっとの間、静かにすれば、前頭葉がリラックスできてフロー状態に入り、脳がベーターモードからアルファモード(空想モード)に入りやすくなると考えています。

アルファ波は脳を自由にするので、どんなタスクも楽に思える。このようにも解説しています。

残念ながら、あまりピンとこない指摘に思われます。

集中を邪魔されたと感じる人が「ちょっと静かにしてくれ」ということはありますが、それで再び、集中の世界に入れるかどうかは疑問です。多分、一度、フローの状態を破壊された人が、簡単にフロー的リラックス状態に入れるとは思えないからです。

このように考えると、手前味噌になってしまうかもしれませんが、気合い一閃の動の呼吸法で脳をシャッフルした後に、静の呼吸法で心の安寧を取り戻した方が手っ取り早いのではないでしょうか。そうすれば、僅か65秒で心身ともにリラックス状態に入れるからです。